公共交通政策は福祉

 この4年間の任期中に、私は何度か公共交通政策について、県政を質してきました。その背景にあるのは、人口減少・少子化、高齢化時代に地方の衰退を食いとめる施策において、公共交通政策が大変重要なファクターであるという認識をもっているからです。

 福井県は、自動車の世帯保有率が1.75台で日本一だということです。全国に先駆けて超高齢化社会を迎えつつあるわが県において、このことは決して誇れる数字ではありません。高齢者など交通弱者が、クルマを使わなくても自由にどこにでもいけるような生活環境を実現するにはどうしたらよいのか。私はいつも頭を巡らせています。これは大変重要な県政課題ではないでしょうか。

 そもそも、日本の公共交通政策は大変脆弱なもので、多くの地方自治体では予算に対する公共交通関連予算は1%ほどにすぎません。これに対し、ヨーロッパの国々、特にフランスでは公共交通の整備を目的とする税制も持ち、公共交通関連予算は30%ほどにもなるそうです。もちろん、わが国の政策転換が大きくされない限り、フランスと同様の施策は実現できないことですが、わが県としては、少しずつクルマに依存しない社会へとシフトしていかなくてはなりません。高齢化および過疎化が進み、自ら移動が自由にできなくなる時代が、この福井において刻一刻とせまっているからです。

 一方で、道路や公共交通が整備されていることは、人口の増減にも大きな影響を与えていることが、筑波大学の谷口守教授の研究から明らかにされています。2003年の国立社会保障・人口問題研究所の市区町村別将来推計人口と、2015年の実人口の比較で、将来予測と実人口の乖離の要因を考察したところによると、予測にあらがって実人口が多かった地方自治体は、居住環境において交通網が比較的整備されていることが明らかになりました。

 福井県は幸福度日本一ではありますが、県民にその実感がないといわれております。その要因の一つには、高齢者や障害者、子どもの移動に制限がかかりやすいクルマに過度に依存した社会であることもあるのではないかと考えています。「福井は交通が不便」という言葉は、巷間でよく耳にします。誰にとっての幸福度日本一であり、住みやすさなのか、今一度私たちは考えなくてはならないのではないでしょうか。

 このように、私は公共交通政策の充実が県民福祉の向上につながるものだと考え、行動してきました。なぜなら、公共交通ネットワークの整備は、「いつでも、いきたいところへ行ける」という、私たちの移動権を保証し、交通弱者の生活の質を向上させる福祉政策そのものであるからです。この4年の間には、並行在来線問題、福井駅西口の交通ターミナルの整備、福井鉄道・えちぜん鉄道の相互乗り入れなどの事業にも、市民団体とともにさまざまな提言を行ってきました。「クルマにたよりすぎないまちづくり」は、まだ道半ばではあるものの、理念としてしっかり根付きつつあると感じています。

 これから2023年度までは、いよいよ北陸新幹線が敦賀まで延伸開業する大切な時期となります。新幹線に備えることも大切ですが、並行在来線や、2次交通の利便性向上、バス路線の維持など、地域公共交通政策の充実も大変重要です。私も県民の立場で、地域の足を充実させるために努力してまいります。