ふるさと納税1兆円国民運動

 9月定例会真っ只中です。この議会には、補正予算案が提出されていますが、その中に「ふるさと納税1兆円」国民運動を始めるというものがあります。
 「ふるさと納税」は豪華な返礼品もあり、昨年度は全国で約1,700億円の寄附がありました。しかし、本来の目的である、「都市と地方の格差是正」という趣旨から外れた競争が、自治体間で起こっていることも話題を呼んでいますよね。補正予算案の提出を機会に、私の考えをまとめてみました。

 まず、私の政治信条の1丁目1番地は、「福井に人・モノ・カネを取り戻し、地域内で経済を循環させる」ことです。
 いうまでもなく、ふるさと納税制度は、人口減少と税収減少に悩む地方にとって、都市との格差是正を制度的に推進しようとする画期的な仕組みであり、高く評価を受けています。ふるさと納税が拡大すると、地域の多様性を活かした事業がさまざまに行われ、それぞれの効果が重なり合って創発現象を生みだし、日本が大いに活性化すると、私も強く信じています。

 一方で、ふるさと納税を活用しているのは納税者全体の2パーセント程度であり、まだ普及半ばです。しかし、私は普及もさることながら、制度の趣旨が一部の過度の返礼品競争によって著しく変質してしまっていることに、大きな違和感を感じてきました。

 競争の一例を挙げます。千葉県の大多喜町では、2014年12月からふるさと納税の返礼品として「ふるさと感謝券」という町内でつかえる商品券を贈っていました(すでに取りやめ)が、これは還元率が7割と全国でもトップクラスの還元率であるだけでなく、ネットショップでも使用できるようにしたため事実上「金券」と変わらない状況となりました。

 その結果、家電製品や高級腕時計、自動車をも購入することが可能な状態を生みだし、なかには実質負担2,000円のみで新車を手に入れる人もいたということです。

 例えば、給与年収1億円の人が400万円の寄付をすると、自己負担の2,000円を引いて399万8千円は所得税と住民税から減額されます。さらに、町からは寄付額の7割である280万円分のふるさと感謝券が贈られることから、2,000円の自己負担を引くと279万8千円分が「儲け」になるというような報道もなされています。

 自治体が豪華な返礼品で競いあう姿は、納税額の増による収入をそのまま得ることよりも、お金をかけた返礼品に話題性を持たせ、自治体のPRにつなげようとする割り切りすら感じ、制度そのものの理念を大きく損ねているような印象を強く持ちます。
また、税金の納める先を自分で自由に選ぶことができるという、ふるさと納税制度で納税者側に与えられた権利を過って解釈し、自分の「サイフ」がどれだけ得するかが納税先の判断基準となっている国民の姿勢にも問題はあります。正しい価値観のもとで、ふるさとの振興をねがう気持ちを育てるようなPRが必要です。

 福井県が提唱したふるさと納税は、地方と都市との格差是正や地方創生のための有効な施策・仕組みです。しかしながら、大切なのは寄附金がどれくらい集まったかより、その寄附金をどのように活用するかではないでしょうか。
 私は、寄附金の活用に当たっては、福井県内で経済が循環し、これにより地域が活性化することが重要であると考えています。まさに今、その仕組みをつくらなくては、ますます人口は減少の一途をたどっていくでしょう。寄附者の思いは、ふるさとをよくしたいと応援してくれるのであって、ふるさとの魅力を高めるため有効に活用してこその「ふるさと納税」ではないでしょうか。

 私は、「ふるさと納税1兆円」国民運動が、全国的に大きなうねりを創り上げ、健全な寄附文化の醸成と地方財源の拡充につながるように、応援していきます。県民のみなさんも、ぜひご参加を!